肌荒れが気になる!それってもしかするとアトピーかも(・・?
アトピー肌とスキンケアのポイント
乾燥から肌を守り、皮膚のバリア機能を正常に保つスキンケアは、アトピー性皮膚炎の標準的な治療法のひとつとされています。
しかしアトピー肌は通常の肌より幾分敏感になっており、間違ったスキンケアをしてしまうとさらに症状が悪化することにもなり兼ねません。
自宅でスキンケアをする際には、細心の注意を払う必要があります。
アトピー性皮膚炎の傾向として、皮膚の良い状態と悪い状態を繰り返す特徴があります。
状態が良いからと油断するのではなく、症状が悪い時だけでなく比較的症状がいい状態の時にも、欠かさず丁寧にスキンケアをすることが大切です。
ここでは、肌荒れの対処法や正しい洗浄方法、洗浄する際の注意点など、アトピー肌に対する効果的なスキンケアを行うポイントについて具体的に解説します。
スキンケアを行う女性イメージ
──花粉症などによる肌荒れの対処法
例年春先になると、スギ花粉が飛散することによりくしゃみや鼻水など花粉症の症状が発生する方が多くなります。
花粉がアレルギーを引き起こす原因となり、肌に付着することによって花粉性皮膚炎等でかゆみや赤みが出現しやすくなることがあります。
またアトピー性皮膚炎のために肌が乾燥しやすい方は、花粉症の時期に悪化しやすい傾向があります。
アトピー性皮膚炎の方は肌のバリア機能が低下していることから、アレルギー反応が出やすくなるので気をつけましょう。
季節の変わり目は肌が敏感になる時期でもあります。
肌に負担の少ないクレンジングや刺激の少ない敏感肌用のケア用品を使うなど、その時に合ったスキンケアを行うよう心がけることが大切です。
──正しい洗浄と保湿でトラブルのない強い肌に
私たちの皮膚には、汗やホコリ、目に見えない雑菌など多くの汚れが付着しており、汚れをそのままにしておくとかゆみや炎症がひどくなります。
炎症を引き起こしたアトピー肌に対しては、正しい洗浄や保湿を行うことが必要です。
日頃の適切なスキンケアを欠かさず行うことにより、皮膚のバリア機能の損壊を防ぐことができるのです。
具体的な洗浄方法は、以下の6つになります。
・顔や体を洗う際は、洗浄力の強いものを避けること
・たっぷりと泡立て、素手や柔らかいタオルで泡を転がすように優しく洗う
・ごしごし洗いやピーリング・スクラブは刺激になるので中止
・症状がひどい時は、お湯洗いのみでも可
・泡が残らないよう十分すすぐ
・熱い湯は避ける(熱湯は乾燥肌になりやすいため)
石鹸をしっかり泡立てるためには、泡立てネットを上手に活用することをおすすめします。
忙しくて時間がない方などは、最初から泡状になっているタイプの石鹸も効果的です。固形石鹸などを泡立てず直接肌につけることは、刺激が強いため避けましょう。
素手で洗うときはできるだけ指の腹を使い、爪を立てずに優しく揉むように洗うと良いでしょう。
入浴もあまり温度を上げすぎず、冬場でも39度ほどのぬるま湯に浸かることをおすすめします。
体を優しく洗うために、ナイロン製のタオルやスポンジ、目の荒い固いタオルは使用を控えるよう心がけましょう。
身体を洗ったあとは石鹸が残らないようにしっかりと洗い流すことが大切です。
丁寧に洗浄した後は、しっかりと肌を保湿して潤いを十分に保つことが大切です。
肌に刺激が少ない優しい保湿剤を使うことを心がけ、入浴後だけでなく外出の前後、寝る前や乾燥するときなどもこまめに使用することが重要です。
アトピー肌のためのスキンケア選び
日頃から正しいスキンケアを行うことで、トラブルが少ない強い肌にすることが可能です。スキンケアに関しては現在さまざまな種類の保湿剤があるので、肌の症状やかかりつけ医に相談しながら、症状や好み、自分の肌のタイプなどに合ったものを選ぶようにしましょう。
保湿剤には保湿を目的にしたものや、肌の保護を目的としたものがあります。
一般に販売されているものを買うなら、セラミドやヘパリン類似物質など肌の保湿を目的としたものを選ぶことをおすすめします。
剤形別では、軟膏やクリーム、ローションなどの保湿剤があります。軟膏は皮膚を保護する効果が高く、クリームは肌を保護しますが軟膏ほどべとつかない特徴があります。
ローションは全体的にべとつかず、広範囲に使用できる利点があります。
敏感肌用化粧品のブランドの中から気に入ったものを選ぶのもおすすめです。現在さまざまな化粧品ブラントが優れたスキンケア製品を販売しています。
実際にカウンターに足を運び、専門のアドバイザーに相談して試してみてもいいでしょう。
保湿剤については、「記事:乾燥肌の皮膚保湿剤 ヘパリン類似物質とは?」も参考にしてください。
アトピー性皮膚炎の肌は非常に敏感になっていることから、最小限のスキンケアとしてぬるま湯洗顔やワセリン保護剤を医師から指導されることもあります。
自分の判断でさまざまなスキンケア製品を試すのではなく、医師の判断をあおぎながらその時の症状に合った適切な方法でケアすることが大切になります。
──アトピー肌とは
よく耳にする「アトピー肌」とは、正確には「アトピー性皮膚炎」という病気によって引き起こされる症状のひとつです。
公益社団法人・日本皮膚科学会のホームページによれば、アトピー性皮膚炎とはかゆみを伴い慢性的に経過する皮膚炎(湿疹)であり、その根本には皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)があり、様々な刺激やアレルギー反応が加わった結果生じると記載されています。
アトピー性皮膚炎には、かゆみのある湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返し、慢性的な症状が継続する傾向があります。
具体的な症状としては、皮膚がカサカサして乾燥している状態、赤みがある湿疹、じゅくじゅくとした水分の多い湿疹、ブツブツとした盛り上がりのある湿疹、ゴツゴツとしこりのような湿疹などがみられます。
個人差がありますが、主に顔や首まわり、肘関節の内側(肘関節屈側)、膝、腿の付け根などに症状が現れることが多いようです。
アトピー性皮膚炎による首まわりの症状イメージ
アトピー性皮膚炎になる原因は一つではなく、大きく分類すると体質的な要因と環境的な要因が原因になることが考えられています。
具体的には、家族からのアレルギー遺伝、肌のバリア機能の低下などの「体質的・遺伝的な要因」、ダニやホコリ、カビなどのアレルゲンによる「外部刺激」、汗や衣類との摩擦、乾燥などのアレルゲン以外の外部的刺激、過労や寝不足、ストレスなどの「環境的な要因」があり、これらが重なるとアトピー症状が出やすいと考えられています。
──アトピー肌のケアに保湿が大切と言われる理由
アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、通常よりも肌のバリア機能が低下しているため外部からさまざまな刺激が入りやすいと言われています。
生まれつき皮膚の油脂が少ない傾向があり、角質細胞に隙間が生じて外部からの刺激な内部に届きやすくなっているのです。
したがって肌のバリア機能が弱い人ほど水分が蒸発しやすいため皮膚の乾燥がおきやすくなり、アトピー性皮膚炎にかかりやすくなると言えるでしょう。
また、肌のバリア機能は掻き壊しによって破壊されることが分かっています。
乾燥でかゆみが助長する中で掻き壊してしまうと、さらに肌のバリア機能が低下してしまいます。
そのためちょっとした刺激でもかゆみが生じやすくなってくるのです。
かゆみを我慢できずさらに強く掻くことにより、ますますバリア機能が破壊される悪循環が生まれてしまうのです。
したがって、アトピー肌のケアには肌のバリア機能を補う保湿ケアが重要です。
普段から肌を清潔に保ち、外部の刺激から保護しつつ皮膚の中に十分な水分を保つことが大切だと言われています。
肌乾燥とアトピーの関係
身体のさまざまな部位に発生するアトピーは、慢性的なかゆみをともない心理的・身体的なストレスの原因となります。肌を掻くことを繰り返すことにより皮膚の表面がガザガザになり、かさぶたができることもあるほどです。
強いかゆみが続くと、夜眠れなくなったり、集中して物事に取り組めなくなるなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。したがってアトピーに対しては正しい治療やケアが大切になります。
アトピーはアレルギーを起こしやすい体質や皮膚の表面が弱い乾燥肌といった体質的な要因と、ダニやホコリ、食事やストレスなどの環境的な要因がアトピー症状を引き起こすと考えられています。
乳幼児期に発症することが多く、その後慢性的な経過を辿り自然治癒するケースもありますが、大人になって再発する方も多くアトピーで悩んでいる成人の方もたくさんいらっしゃいます。
アトピーを根治することは難しく、一般的には対処療法で治療することになりますが、正しい洗浄やスキンケアなども効果的だと言われています。ここでは、具体的なアトピー肌の特徴や、アトピー肌のケアのポイントなどを紹介していきます。
健康な肌の人でも「敏感肌」になる可能性が!?
健康な方が急に敏感肌に変わってしまうことは、実はそこまで珍しいことではありません。
肌は常に移り変わっていくものなので、健康な状態な時もあれば、敏感になる時もあります。肌の状態を意識的に注視し、ケアをすることが肝心です。
肌の状態を確認する女性イメージ
──生理前の肌荒れ
普段はなんともないのに突然、肌が敏感になったり荒れたりするのは、肌が揺らいだり不安定になったりすることが原因です。
このような状態を「ゆらぎ肌」と言います。
慢性的なバリア機能の低下が起こっている状態が敏感肌であるのに対し、「ゆらぎ肌」は、季節の変わり目や生理といった変化により、一時的にバリア機能が低下した状態を指しています。
特に、お肌の揺らぎを実感しやすいのが生理前でしょう。
女性の肌が揺らぐ原因には、先ほども少しご紹介したようにホルモンバランスが関係しています。
普段、私たちの体はプロゲステロン(黄体ホルモン)よりもエストロゲン(卵胞ホルモン)の方が多く分泌されています。
しかし、排卵期を境に、生理が始まるまではこのバランスが逆転しプロゲステロンの分泌量が多くなります。
プロゲステロンは男性ホルモンと似た働きをし、プロゲステロンの量が多くなると皮脂分泌がいつもよりも増加します。
すると皮脂と水分のバランスが変わるので、普段と同じスキンケアのはずなのに肌に合わなくなったり、バリア機能が乱れて肌が敏感になったりします。
季節の変わり目も同様で、お肌が揺らぎやすい時期として知られています。寒暖差に体がついていけず自律神経が乱れたり、紫外線量が急激に増えてお肌へのダメージが増えたりすることが揺らぎの原因になります。
このように、実は誰でも敏感肌になる可能性があります。
──肌トラブルが起きてしまったときのケア
どんなにお肌の手入れ・ケアをしていても、環境の変化などでお肌が揺らいで敏感になる可能性は誰にも訪れます。
しかし、敏感になったままお肌を放置していたり、いつものケアをそのまま続けていたりすると、さらにお肌の状態を悪化させてしまいます。
お肌の揺らぎを感じたら、今の肌状態に合うケアに変えないといけません。
敏感肌用のスキンケアに切り替える
生理前や環境の変化などでお肌の揺らぎを感じたら、すぐに敏感肌用のスキンケアに変えましょう。
敏感肌になると普段は何も感じない香料や着色料、界面活性剤にお肌が反応してしまうことがあります。
敏感肌用の化粧水やクリームなど、今は多くのラインナップがあるので敏感肌でも使える化粧品を前もって見つけておくと安心です。
「これならいつ使っても大丈夫」と言える化粧品を「おまもりコスメ」として持っておくことをおすすめします。
間違ったスキンケア
洗顔のしすぎや肌の状態に合っていないスキンケアも、敏感肌を引き起こす原因の一つです。
汚れをしっかり落とそうと、お肌を強く擦ったり、洗浄力の強い洗顔料を使ったりすると、すぐにお肌は乾燥してしまいます。またスキンケアの際は、水分だけでなく油分も補わないとせっかく与えた水分がすぐに蒸発してしまいます。
お肌の刺激になりそうな化粧品は避ける
スクラブ入りの洗顔料やアルコール入りの化粧水、お肌をこするピーリングは刺激になることがあります。
肌が敏感な時期の使用を控えましょう。お肌がダメージを受けてニキビや肌荒れが悪化する要因になります。
生活習慣を見直す
忙しいと、なかなか栄養バランスが整った食事を摂るのが難しくなります。
満足に睡眠を確保できないこともあるでしょう。
そのようなときは、少しでも体の負担を軽くするためにサプリメントで栄養を補います。
特に、ビタミンB2やビタミンB6はお肌を健康に保つ大事なビタミンなので、ぜひ積極的に摂りたい栄養素です。
また成長ホルモンがお肌のターンオーバーに関係するため、夜ふかしをせず、平日休日にかかわらずなるべく朝の8時くらいまでには、起きるようにしましょう。
睡眠不足が肌荒れを招いて、肌荒れがストレスになって寝付きが悪くなったり症状が悪化したりと悪循環に陥りやすくなります。
食事や睡眠の見直しは肌だけでなく健康促進にもつながります。
敏感肌には保湿が重要
敏感肌のスキンケアで最も大切なのが保湿です。敏感肌は、角質層に十分な水分が不足し、バリア機能が低下することによって引き起こされます。
保湿ケアする女性イメージ
──敏感肌は乾燥・肌荒れの状態
角質層の水分が減ってバリア機能が低下すると、お肌は少しの刺激でもダメージを受けてしまいます。
実は、肌が乾燥している時だけでなく、ニキビやベタつきが出ている時も、水分不足に陥っている可能性があります。
なぜなら、お肌が乾燥すると皮脂を通常よりも多く分泌し肌を保護するはたらきがあるからです。
できるだけ低刺激性の、自分の肌に合った化粧水で保湿するようにしましょう。お肌が冷たくひんやりしてきたら、お肌がきちんと潤っている証拠です。
この後にクリームやジェルで潤いを閉じ込めます。もちろん肌が荒れ始めているときは、刺激になりやすいスクラブ洗顔やピーリング、強いマッサージなどは避けましょう。
──保湿ケア選びのポイント
保湿が大事と言われても、具体的にどういった化粧水を使えば良いのか迷ってしまいますね。おすすめは、ヘパリン類似物質やヒアルロン酸、セラミド、アミノ酸が入っている化粧品です。
乾燥肌に効果的な成分として「記事:乾燥肌の皮膚保湿剤 ヘパリン類似物質とは?」も参考にしてください。
どうして症状が起こるの?
アトピー性皮膚炎の原因についてはまだ解明されていないこともありますが、
皮膚のバリア機能が低下した乾燥状態に、アレルゲンの侵入(ダニ・ほこり・食べ物など)やストレスなどの多様な環境的要因が重なって起こると考えられています。
原因や症状には個人差があり、症状を悪化させる要因も人それぞれ異なるのがアトピー性皮膚炎の特徴です。
かゆみを伴う湿疹を繰り返すアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは
日本皮膚科学会によるとアトピー性皮膚炎とは、
「増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、
患者の多くはアトピー素因を持つ(アトピー性皮膚炎診療ガイドラインより)」と定義されています。
つまり、「かゆみのある湿疹」「よくなったり悪くなったりを繰り返す」「アトピー素因を持つ」という3つがアトピー性皮膚炎の特徴といえるでしょう。
アトピー素因とは?
アトピー素因とは、
(1)本人または家族が、アレルギー性の病気(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、ぜんそく、結膜炎など)を持っていること、
(2)アレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体」を作りやすい体質を持っていることをいいます。
アトピー素因とは「アレルギーを起こしやすい体質」と考えるといいでしょう。
主症状は「アトピーならでは」のかゆい湿疹
湿疹や皮膚の状態、できる部位などに特徴がある
アトピー性皮膚炎の症状としては、「かゆみがある」「特徴的な湿疹と分布」「繰り返す」という3つがあげられます。
赤みのある湿疹、プツプツと盛り上がりのある湿疹、ジクジクと水分の多い湿疹、ゴツゴツしたしこりのような湿疹がよくみられ、掻くことによって皮膚が厚くゴワゴワした状態になったり、かさぶたができたりします。
また、湿疹ができやすい部位にも特徴があり、個人差がありますが、顔、耳や首回り、わきの下やひじの内・外側、ももの付け根、ひざの表・裏側などに多くみられます。
アトピー性皮膚炎の湿疹
体質的な要因に環境的な要因が重なって起こる
原因が一つとは限らない「多因子性」の病気
アトピー性皮膚炎の原因には、アトピー素因やバリア機能が低下している皮膚状態などの「体質的な要因」と、アレルギー症状を起こす物質(アレルゲン)や皮膚への外部刺激など「環境的な要因」があります。
体質的な要因と環境的な要因が重なったときに、皮膚炎の症状があらわれると考えられます。
ただし、アトピー性皮膚炎の増悪原因や症状は人によってさまざまです。
例えば、同じ化粧品を使っても、症状が起こる人と起こらない人がいますし、あるときは大丈夫でも、あるときは症状が出るということもあります。
また、そのときの体調や精神的な状態によっても異なることがあります。
これはアトピー性皮膚炎が、一つだけでなくいくつもの要因が重なって影響する「多因子性」の病気であるためです。
体質に関する要因
皮膚のバリア機能低下
環境に関する要因
アレルゲン(アレルギー症状の原因となる物質)
食物、ダニ、ほこり、カビ、花粉、動物の毛やフケなど
アレルゲン以外の刺激
汗、衣類による摩擦、乾燥、ひっかき傷、「洗剤」など日用品、化粧品など
その他
寝不足、過労、ストレスなど
アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下している
人間の皮膚に備わっているバリア機能は、外からの刺激や雑菌などの外敵が体内に入り込まないように、また体内から水分などがもれないように守る大切な機能です。
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3層からなり、表皮のいちばん外側にある「角層」が、このバリア機能を担っています。
アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、このバリア機能が低下しているため、角質の細胞の間を埋めている角質細胞間脂質や水分を保つ天然保湿因子が減ってしまいます。
その結果、角層のバランスが崩れ、外からさまざまな刺激やアレルゲンが侵入しやすくなります。
アレルゲンが皮膚から侵入すると、それを攻撃し、からだの外へ追い出そうとする免疫細胞と結びつき、ヒスタミンという物質を出すことで炎症が起こります。
また、掻き壊しによりバリア機能が低下した皮膚は、ちょっとした刺激でもかゆみが起こりやすい状態のため、さらに掻いてしまい、よりバリア機能が破壊されるという悪循環に陥りやすくもなります。
健康な皮膚とアトピー性皮膚炎の皮膚
かゆみと炎症の悪化サイクル
年齢によって症状が変化する
アトピー性皮膚炎の多くは乳幼児期に発症し、成長とともに治っていく傾向があります。
ただし、大人になるまで続くことや、一度治った人が再発することもあり、再発した場合は治りにくいといわれています。
また、年齢に応じて症状の傾向が変化し、乳児期は頭や顔に多く、幼児期にかけてだんだんとからだや下肢に広がります。
特に関節部分にできやすく、皮膚の乾燥が目立つようになります。
思春期~青年期になると、顔や胸、背中、ひじなど上半身に湿疹ができやすくなります。
乳児で2ヶ月以上、幼児~成人は6ヶ月以上症状が続くと、アトピー性皮膚炎と診断されます。
最後のまとめ
今回は季節的の湿気も多くなってきてお家の中では意外とダニの発生率が多くなるといわれています
そこでダニとアトピーについて考えてみました
今回はアトピー性皮膚炎におけるダニアレルゲンの関与についての議論をご紹介いたします。
ダニアレルゲンを回避することが、アトピー性皮膚炎の治療上重要かどうかはいまだ議論があります。
しかし、少なくも小児期早期においてアトピー様症状を持った患児にたいするダニアレルゲン回避は将来的にダニアレルギーへの進展を防ぐために有用とされます。
他の研究グループによると、ダニアレルゲン回避はアトピー性皮膚炎の発症を阻止しないとしています。
上記のようにダニアレルゲン回避のアトピー性皮膚炎予防の有用性は議論があるものの、多くの臨床医がアトピーの予防と治療に対しダニアレルゲン回避を勧めているのも事実です。しかし他方ダニアレルギーはアトピーのみならず喘息やアレルギー性鼻炎にも関係することが知られており、アレルギー検査上ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニに対する特異的IgEの上昇を認める場合は、ダニ対策を行い住環境におけるダニの量を減らすようにするのがよいと考えられます。