生活保護を受けるための条件とは?
「お金がなくて満足に食事もできない」「収入が少なくて、生活に必要なものが買えない」など経済的に貧窮していて、日々の生活に不安を抱える人は少なくありません。
そういった方の助けになるのが「生活保護制度」です。
すべての国民は「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利があり、国はその実現に努めなくてはならないと憲法で定められているのです。<憲法25条>
より具体的には、国が定めた基準により算出された「最低生活費」が得られない人に対し、生活保護制度は経済的な支援を行います。
安定した収入がない等で経済的に貧窮し、途方に暮れている方は生活保護制度の利用を検討しましょう。
結論として以下4つの条件さえクリアすれば、この制度を利用できます。
持ち家や自家用車などの資産を活用できない
生活保護法では「最低限度の生活」を維持する目的で、資産の活用を求めています。■生活保護法第4条抜粋
売却することによって生活費に充てられると判断される資産がある場合は、生活保護は受給できません。
まずは、資産を売却し生活費に活用できないかどうか要求されます。
このとき、売却を求められる資産の例は以下の通りです。
働きたくても働けないなど能力を活用できない
現在働いており十分な生活費が得られる人は、生活保護を受けることはできません。
生活保護を受けなくても、自分の収入で最低限度の生活が維持できると考えられるためです。
生活保護は、働きたくても働けない人、働いても十分な生活費を得られない人が対象となります。
これらに該当する人に、生活保護が最低限度の生活を保障するわけです。
より具体的には、以下のような方が生活保護の受給が可能です。
■働いてはいるものの著しく収入が低い
働いていても収入が少なくて、最低限度の生活に足りない場合は生活保護の対象となり、足りない分が生活保護から援助されます。
※最低限度の生活費がどのくらいになるかは、居住地や世帯人数などによってまちまちです。詳細は後述します
■病気や怪我、高齢などで働きたくても働けない
病気や怪我、障害、高齢などの理由で働きたくても働けないという場合は、生活保護を受けられる可能性があります。
この他にも障害で世話が必要な子どもを抱えたシングルマザーの方など、働けない理由があるときは生活保護を受給できる可能性があります。
該当する公的制度が生活保護以外に見当たらない
お金に困っている人が利用できる、国の経済的な援助は生活保護だけではありません。
生活保護はあくまで最終的な手段であり、その他の援助が受けられるようならそちらを優先する必要があるわけです。
生活保護に代わるような経済的な援助の例としては以下があげられます。
親族などで支援してもらえる人が見当たらない
生活保護法では、生活保護を受ける前に親族からの経済的援助を優先するよう定めています。■生活保護法第4条抜粋
つまり親族から経済的な援助が受けられない場合に、生活保護が受けられることになります。
反対に親族が経済的に援助する場合は、生活保護が受けられないか、生活保護で支給される金額がその分減らされます。
対象となる親族の範囲は以下の通りです。
- 配偶者
- 親や子、孫、祖父母と言った直系親族
- 兄弟姉妹
- その他、現在援助をしている親族
※3親等以内の親族が対象
働いている場合や年金受給者でも最低生活水準に満たない場合は生活保護の対象になる
働いていたり年金を受給したりしていて、安定した収入がある人は生活保護を受けられないと考えていませんか。
結論から申し上げますと、これは誤解です。
仮に収入があったとしても、最低限の生活を過ごすのに必要な費用に満たなければ、足りない分の経済的援助を受けられます。
このとき、最低限の生活に必要な費用のことを「最低生活費」と呼ぶのです。
最低生活費とは、生活扶助と住宅扶助の合計額です。
たとえば最低生活費が15万円で、毎月10万円の収入(手取り)がある場合は、15万円-10万円=5万円が支給されることになります。
(実際には通勤費用等の実費が収入から引かれたり、基礎控除が考慮されたりして、支給される額は増えます。)
ちなみに、働いて受け取った収入や年金以外でも、以下のような収入がある場合、これらも生活保護の減額対象となるので注意して下さい。
- 生命保険で受け取った保険金
- 車や家を売却して得たお金
- 親族から仕送りされたお金
- 退職金
- 失業保険・傷病手当・児童扶養手当といった公的な手当
生活保護は、あくまで最低生活費がえられない人のためにつくられた制度です。
ゆえに別途収入がある場合でも、保障されるのは最低生活費までとなります。
まとめ
生活保護は、国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられた制度です。
生活保護を申請すると、最低限度の生活を送るのに必要となる経済的な援助を受けられます。
生活保護自体は、すべての国民に認められた権利ですので、利用を躊躇したり恥じたりする必要はありません。
生活保護を受給する際は、必要な条件を満たしているか審査が行われます。
受給の条件は働けないこと、持ち家などの資産を活用できないこと、他の公的制度では十分でないこと、親族の支援が得られないことです。
申請から原則14日以内に審査が完了し、審査を通過すれば受給が開始されます。
また受給開始後も就労のための努力をしたり、収入や新たに得た資産をケースワーカーに申告したりといった義務があるので注意しましょう。
利用者はケースワーカーや福祉事務所と相談しながら、生活保護から脱却し自立を目指す必要があります。
さらに生活保護の受給中は、新たな借金はできませんので注意してください。